2013年11月13日水曜日

コンビニコーヒー戦争 ローソンがセブンイレブンに勝てない本当の理由

コンビニでいれ立てのコーヒーを飲むのが当たり前になって、
最近、そのたびに「うーん」と考えさせられるのがローソンのコーヒーだ。

セブンイレブンで挽き立てが100円となった今、180円(ポンタで割引がついても150円)は
どう考えても割高である。
僕の行く店では、50代と思しきパートのおばちゃんが、どう見ても似合っていない
カフェ風エプロン姿で手渡ししてくれる。
しかし、おばちゃんはレジ係でもあるので、手を消毒し、コーヒーを入れて、ふたを閉める間は
レジで行列をしている人たちは「ちょっとお待ちください」とお預けを食う。さらに困ったことに、
コーヒーの受け取り口は店の出口に近く、一番奥側のレジでコーヒーを注文しようものなら、
その距離約5メートルである。作業と移動の往復にして10秒。
普段はどうということのない10秒だが、オフィス街の昼下がり、13時から再度始業開始ですよ、
というコンビニでは永遠のような10秒間だ。

「セブンイレブンみたいに、セルフにしたらいいのに」
と、僕に限らず、ローソンでコーヒーを買った人の90%が思っているに違いない。
中には、ラッキーにも、コンビニのバイトのお姉さんが超かわいくて、
「あのお姉さんから手渡ししてもらえるのが、一日の最高の癒し」みたいな男子も
10%くらいはいるかもしれないが・・・。

導入当初はスタバのようなコーヒーチェーンを想定して、「手渡し」にしたのだろう。
衛生面の気遣いもあったかもしれない。
また、「レジが行列を作る」みたいな場面の少ない地方のコンビニは手渡しでも
問題ないかもしれない。
が、コンビニでコップに入ったコーヒーを飲むのは都市部で働く人たちで、
それも出勤前と昼休み休憩がピークに決まっている。その時間帯はたいてい、レジは行列だ。

その中で、あの「コーヒー手渡し」は、どう考えても、機会損失のもとだ。
「あ、ローソンはレジこんでるから、他にしよ」となっても、何ら不思議はない。

コーヒーの件に限らず、どうも最近のローソンは、賢い本部スタッフが戦略考えました」色
強い気がしてならない。ナチュラルローソンにしても、「街のヘルスステーション宣言」にしても、だ。
確かに、戦略としては一見正しそうに見える。王者であるセブンイレブンと違う競争ポジションで
戦う、というのは「教科書的な戦略論」でいうと、すごく王道だし、納得感もある。
(「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠木先生風に言うと、SP(ストラテジックポジショニング)  的競争戦略の典型)

が、しかし、なんだか頭でっかちなのである。
その戦略を描いた人たちは、この現場、売り場の、レジ内のドタバタを見たのか?と。
「あー、もう13時には戻らないといけないのにー」と、スイーツ片手にイライラしている
OLさんたちの表情を見たのか、と。

先日、新聞では「コーヒーは粗利率も高いので、加盟店ももっと積極的に売ってほしい」
という新浪CEOの談話が載っていて、
「いやー、売りたくても売れないんじゃないの、オペレーション大変だし」と、思わず
突っ込みを入れたくなった。
少なくともオフィス街平日昼のローソンレジで「ご一緒にコーヒーもいかがですか?」という
余裕なんてどこにもない。
その前に、機械も必要に応じて入れ替えて、セルフ化だろ、と思う。

そんなことを考えていたら、今日の日経MJにセブンイレブンのコーヒーの記事が載っていた。
後発ということもあり、味の素AGFと富士電機の協力を得て、2年の開発期間を経て、
満を持して投入したという。
確かに、目の前でコーヒーをがりがりと挽くシズル感、取り出し口のカバー(衛生、安全、香りが広がる効果)、出来上がった際のピーピー音(サンクスにはこれがない)、出来上がりのスピード、
メンテナンスの早さなど、セブンのものは完成度が高い。
そして100円という価格。
それはもう、圧倒的にセブンに軍配があがる。
ローソンの平均日販60杯に対し、セブンは90杯というのもうなずける。

セブンの攻勢に対して、ローソン他、各社も対抗策を出すという。
ローソンは期間限定で高級希少種を使ったコーヒーを出すとともに、
サービスをより充実させるために、「接客やコーヒーの専門知識を問う社内の資格制度の
資格保有者を現在の4倍に当たる2,000人に増やす」らしい。

ん??ちょっと、それ、努力の方向、間違ってませんかね?!
高級希少種はともかく、
「サービスを充実」って。コンビニのコーヒー手渡しに何の専門知識とサービスが必要だと
いうのか・・・。
コーヒーの専門知識を問うくらいだったら、手渡しできるのは「かわいい子か、イケメンに限る」とかの方が効果高そう・・・。
そして、コンビニにおける最上のサービスとは「混雑しているレジでストレスを感じさせないこと」ではないのか。

同じ今日のMJによると、セブンの鈴木会長は常々、社内に
「他社を見るな、お客の変化だけ見ろ」と言っているという。
おそらく、セブンにとっては「お客の変化」の大事な要素の一つとして、
「現場」「売り場」が入っているに違いない。
会議室で、ライバルをきっちり分析し、きれいなポジショニングマップを書いていそうな
(完全に想像ですけど)、ローソンとは、実に対照的だと思いませんか。

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